メガネで耳が痛い原因を、痛む位置で見分ける
夕方になると、メガネを外したときに耳の上がじんわり痛い。仕事終わりに耳の後ろを押さえる癖がついている。かけ始めは平気なのに、数時間経つと決まって同じ場所が気になる——そういう相談は、季節を問わず入ってきます。
この記事では、耳のどこが痛むかによって原因が別物であることを整理し、調整で直せる範囲と、フレームの形そのものが合っていない場合の線引きをお伝えします。
耳の痛みは「上」「付け根」「後ろ」で原因が違う
耳まわりの痛みをひとまとめに「きつい」と表現する方が多いのですが、実際に触って確かめていくと、痛む場所は三つに分かれます。そして三つとも、原因になっている部分が違います。
**耳の上(テンプルが乗る部分)**が痛い場合。ここはメガネの重さが直接かかる場所です。テンプルの下面が細い線で当たっていたり、曲がり始めの位置が耳より手前すぎて、耳の上の一点に荷重が集中していることが多い。
**耳の付け根(耳と頭の境目のくぼみ)**が痛い場合。テンプルが耳の付け根に食い込んでいる状態です。曲がり始めの位置が奥すぎるか、あるいは耳に沿わせるカーブがきつく、耳を前へ押し出すように当たっている。この場合、耳が少し前に倒れて赤くなっていることがあります。
**耳の後ろ(耳たぶの裏から下の骨のあたり)**が痛い場合。先端部分が長すぎて、耳の裏の柔らかい部分を押しているか、先端の当たりが強すぎる状態です。メガネがずり落ちるのを防ごうとして強く締めてある場合も、ここに出やすい。
まず鏡を見て、自分がどこを押さえているかを確かめてください。話がだいぶ早くなります。
調整で動かせるのは「長さ」と「曲がり始めの位置」
耳まわりでメガネ店が触れる部分は、大きく分けて三つあります。
一つめはテンプルの長さ。金属フレームの多くは、耳にかかる先端部分(モダン、と呼びます)の中に芯が入っていて、位置をずらせる作りになっているものがあります。プラスチックのフレームも、熱を入れて形を変えられるものが多い。
二つめは曲がり始めの位置。これが耳の付け根より手前だと重さが耳の上に集中し、奥すぎると付け根に食い込みます。痛みの相談で実際にいちばん多く直すのが、ここです。数ミリの違いで当たり方が変わるので、自分では分かりにくい部分でもあります。
三つめはテンプルの開き具合と、耳への沿わせ方。頭を締め付ける方向に力がかかっているのか、それとも耳に引っかけて支えているのか。これで痛みの出方が変わります。
逆に言えば、この三つで説明がつかない痛みは、調整だけでは解決しにくい可能性が出てきます。
自分で曲げる前に、確かめておきたいこと
痛いところを自分で少し広げたくなる気持ちは分かります。ただ、耳まわりを自分で曲げるのは、鼻あてより難しいと思っておいたほうが安全です。理由は三つあります。
左右は、もともと違う。 耳の高さも、耳の付け根の位置も、左右で少しずれているのが普通です。片側だけ痛いからといって、そちら側だけ広げると、今度は全体が傾きます。傾けばレンズを通して見る位置も変わります。
素材によっては折れる。 プラスチックのテンプルは、冷えた状態で曲げると白く筋が入ったり、最悪折れます。熱を入れるにも適温があり、ドライヤーで温めればいい、という単純な話ではありません。
痛みの原因が耳側にないことがある。 鼻側の支えが足りなくて全体が下がり、その分を耳が支えている、というケースがあります。この場合、耳をいくら緩めても痛みは移動するだけです。
自分でできることとしては、「どの時間帯に」「どこが」「どちらが」痛むかをメモしておくくらいで十分です。それだけで、店側の当たりの付け方がかなり変わります。
調整では追いつかない、形が合っていない場合
正直に書きますが、調整で解決しきれないケースもあります。見分けの目安を挙げます。
テンプルの長さそのものが足りない、または余っている。 曲がり始めの位置を動かそうにも、芯の入っている範囲を超えて動かせないことがあります。特に長さが足りない場合、耳の手前で急に曲げることになり、どう調整しても耳の上に集中します。
フレームの幅が頭幅に対して狭い。 幅が足りないと、テンプルが外へ押し広げられた状態になり、こめかみから耳の上にかけて常に圧がかかります。この場合、耳だけ緩めても根本は変わりません。
本体が重い、あるいは重心が前寄り。 レンズが厚い、フレームに厚みがある場合、重さの逃げ場は耳しかありません。調整で当たりを分散させることはできても、重さ自体は減りません。レンズの設計やフレームの選び直しの話になります。
先端部分の素材が硬い。 汗をかく季節に痛みが強くなる場合、素材や表面の仕上げが肌に合っていないこともあります。先端に被せるパーツを替えられるフレームもありますが、構造上できないものもあります。
このあたりは、実物を見ないと判断できません。「直せます」と書きたいところですが、できないものはできない、というのが実際です。
痛み以外の症状が出ているときの線引き
ひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。
耳の痛みと一緒に、頭痛、目の奥の重さ、見えづらさといった症状が出ている場合、それはメガネの当たり方だけの話ではないかもしれません。皮膚に炎症が出ている、耳の中や周辺に痛みがある、という場合も同じです。
眼の症状や病気、皮膚の症状は、眼科医・医師の領域です。 メガネ店でできるのは、見え方についての相談と、メガネそのものの調整・提案まで。ここは線を引いておきます。気になる症状があるときは、先に医療機関で診てもらってください。そのうえで、メガネ側で調整できることがあれば、お手伝いできます。
度数が合っていないせいで無意識に顔を近づけ、その姿勢でメガネがずれ、結果として耳が痛む——という順番のこともあります。この場合、耳だけ直しても繰り返します。順番としては、症状の確認、見え方の確認、そのうえで調整、という流れが安全です。
相談するときの順番と、実物で確かめたいこと
最後に、判断の順番をまとめます。
- 痛む位置を特定する(耳の上/付け根/後ろのどれか)
- 左右どちらか、両方かを確認する
- かけ始めから何時間で出るかを見る(すぐ痛むのと、夕方だけ痛むのでは原因が違う)
- 鼻側が下がっていないか、鏡で横から見る
- ここまで分かった状態で、店に持っていく
調整は、フレームを一度預かってこちらで曲げて終わり、ではありません。かけてもらって、当たりを見て、また少し直す。その繰り返しで詰めていく作業です。だから、実際にかけた状態を見せてもらえるのがいちばん早い。かけ具合は日々の使い方でも変わるので、痛みが出る前に時々見てもらう、くらいの感覚でも構いません。
HAUSのメガネ売場にも一級眼鏡作製技能士がいますので、今かけているメガネを持って立ち寄っていただければ、どこが当たっているか一緒に確かめられます。他店で作られたものでも、状態を見て、直せる範囲と難しい範囲をお伝えします。
耳の痛みは、慣れるものではありません。数時間で痛くなるのは、どこかに無理がかかっている合図です。買い替えの判断をする前に、まず当たっている場所を特定するところから始めてみてください。