メガネの鼻の跡は、形で原因を見分ける
メガネを外した瞬間、鼻の両脇にくっきり跡が残っている。人と会う前や、写真を撮る直前に気づくと、ちょっと気になるものです。指で押して消そうとしてもすぐには戻らず、「これは一生このままなのか」と不安になる方もいます。
この記事では、跡を消す方法ではなく、跡の「形」から何がずれているかを読み、店で何を伝えれば直る方向に進むかを整理します。
跡は「濃さ」ではなく、形と消えるまでの時間で読む
鼻の跡は、支える力が一点に集まっているしるしです。鼻パッドが面で当たっていれば、力は広く散るので跡は薄く広く、短い時間で消えます。逆に、角や縁の一部だけで受けていると、狭い範囲に力が集中して、深く濃い跡になります。
まずやってほしいのは、記録です。
- メガネを外して3分以内に鏡を見る
- 跡の形を、スマホで左右それぞれ撮っておく
- そのあと、何分で消えるかを一度だけ計ってみる
目安として、10〜15分ほどで分からなくなるなら、支えている以上ある程度は出るものです。30分以上はっきり残る、へこみが指で触って分かる、という場合は力が集中していると考えていいでしょう。
なお、跡そのものは肌側に出る反応です。赤みやかゆみ、ぶつぶつが続くようなら、それは皮膚科で診てもらう話になります。メガネ店の側でできるのは、力のかかり方という構造の部分だけ、と線を引いておきます。
形1:丸い点の跡 ―― 鼻パッドの「角度」が合っていない
パッドの輪郭全体ではなく、小さく丸い点が1か所だけ残る。あるいはパッドの上端か下端だけが濃い。この形が出ているときは、パッドが面ではなく、縁や角で鼻に当たっています。
鼻パッドの角度には3方向あります。前後にどれだけ倒すか、上下にどれだけ傾けるか、左右にどれだけ開くか。鼻の斜面の角度は人によってかなり違うので、既製のままでは一部しか触れていないことが珍しくありません。
鏡で確かめるなら、正面よりやや下から見上げて、パッドの長いほうの辺が、鼻の斜面と平行に寝ているかを見ます。片方の端だけ浮いて見えるなら、角度のずれです。
ここは自分で曲げたくなるところですが、パッドを支える細い腕は金属疲労で折れることがあり、折れると部品交換になります。点の跡は、角度を数度動かすだけで変わることが多い箇所でもあるので、曲げる前に見てもらうほうが結果的に早いです。角度を変えても収まらない場合は、パッドの大きさや形そのものを変える、という選択肢に移ります。
形2:縦に伸びた跡 ―― 重心が前に寄っている
跡が縦長に伸びている、パッドの下側ほど濃い、こすれたように少し赤い。この形は、角度より先に重さの話を疑います。
メガネが前に重いと、フレームは常に下へ落ちようとします。その落ちる力を鼻だけで受け止めると、パッドが少しずつ下に滑り、縦方向の擦れた跡になります。日中に何度もかけ直している人は、この形が出やすいです。
前に重くなる要因は、レンズが大きい、レンズが厚い、フレームの前面が重い、といった作りの側のこと。そしてもうひとつ、テンプル(つる)が耳の後ろでちゃんと引っかかっていないこと。耳側で支える配分が足りないと、その分が全部鼻に来ます。
確認するなら、テンプルの曲がり始めが耳の付け根より手前で終わっていないか。横から写真を撮ると分かりやすいです。耳側の支えを作り直すだけで、鼻の跡が薄くなることはよくあります。
ただし、レンズの大きさや厚み、フレームの前面の重さは、調整では変えられません。ここに原因がある場合は、次に作るときの選び方の話になります。正直に言えば、今のメガネのままでは軽くできないこともあります。
形3:片側だけ濃い ―― 左右差が出ている
左右を見比べて、片方だけ跡が濃い、あるいは片方にしか残らない。この場合、フレームが傾いて片側に荷重が偏っています。
やっかいなのは、原因が二通りあることです。ひとつはフレームが歪んでいる場合。もうひとつは、もともと顔の左右差(耳の高さ、鼻筋の中心のずれ)にフレームが合っていない場合です。顔は左右対称ではないほうが普通なので、後者もよくあります。
前者なら歪みを戻せば済みますが、後者は左右のパッドの高さや角度を、わざと違う設定にするという対処になります。どちらなのかは、フレームを平らな机に置いた状態と、かけた状態の両方を見ないと分かりません。ここを自分の判断で片側だけ曲げると、歪みが足し算になって、余計に片寄ることがあります。片側だけの跡は、触らずに持っていくのが無難です。
自分でできること、できないこと
できることは、そう多くありません。
- パッドの表面を確認する。シリコンのパッドは年数が経つと硬く、縮んで角が立ってきます。硬くなったものは点で当たりやすく、交換で変わることがあります
- かける位置を日中にずらしすぎない。ずり上げる癖があると、接触面がその都度変わって跡が増えます
- 跡の形と消える時間を、数日分だけ記録しておく
できないこともはっきりしています。跡を完全にゼロにすることは、基本的にできません。鼻とテンプルで支えている以上、何かしらの痕跡は残ります。目指すのは「薄くて、短時間で消える跡」までです。
そして、見えにくさや目の痛み、頭痛などが一緒に出ている場合。それは跡の話とは別で、眼の症状や病気は眼科医が診る領域です。店でできるのは、見え方の相談とメガネ側の調整まで、という線は変わりません。
店で伝えると早い、5つのこと
持っていくときは、現物をかけた状態で見てもらうのがいちばん早いです。そのうえで、次の順で伝えてください。
- 跡の形(丸い点/縦長/片側だけ)。撮った写真があれば見せる
- 消えるまでの時間(10分くらい/1時間近く)
- いつからか(買ったときから/ここ数か月で変わった)
- 一日のかけ方(何時間かけるか、かけ直す回数、マスクの有無)
- 自分で曲げたかどうか。これは正直に言ってもらえると、原因の切り分けがかなり速くなります
調整したあとは、その場で数分かけて、鼻のどこに触れている感じがするかを言葉にしてみてください。「当たっている場所が下に移った」程度でも十分な情報です。鼻あてそのものを別の形に替える相談も含めて、メガネの売場で実際にかけた状態を見ながら進められます。
最後にひとつ。調整で一度よくなっても、使い方や素材によっては数週間で元に戻ることがあります。何度か戻るようなら、それは調整の範囲ではなく、フレームの形が合っていないというサインかもしれません。その見極めも含めて、気になった時点で一度見てもらうのがいいと思います。