メガネのこと

メガネが似合う選び方は、鏡で見る3点だけでいい

メガネを選びに行って、いくつかかけてみたはいいけれど、鏡の中の自分を見ながら「これは似合っているのか、似合っていないのか」がわからなくなる。あの感覚は、多くの方が経験しています。かけ替えるほど印象が混ざって、最後は「なんとなく無難なほう」で決めてしまう。この記事では、顔型の分類に頼らずに、鏡の前で見るポイントを3つだけに絞る方法をお伝えします。

「丸顔だから四角いフレーム」で決まらない理由

メガネの選び方を調べると、たいてい顔型の分類表が出てきます。丸顔・四角い顔・卵型・逆三角形。それぞれに「おすすめの形」が割り当てられている表です。

この表は入口としては悪くありません。ただ、売場で実際にお客さまと鏡を見ていると、表のとおりにいかないことがかなりあります。理由はいくつかあって、まず、自分の顔型を自分で正しく判定できている人が少ない。輪郭は髪型でも印象が変わりますし、正面から見た形と斜めから見た形も違います。

そして、フレームの印象を決めているのは輪郭との相性だけではありません。眉との距離、目がレンズのどこに来るか、フレームの色の濃さ。この3つが動くと、同じ「四角いフレーム」でも印象がまったく別物になります。実際に、同じ形で色だけ違う2本をかけ比べると、その差にご自身で驚かれる方が多いです。

だから、顔型から形を逆算するより、目の前の1本が自分の顔の上でどう振る舞っているかを見るほうが、早くて確実です。見る点は3つだけです。

見る点1:眉とフレーム上辺の関係

最初に見るのは、フレームの上のラインと眉の関係です。ここが、似合う・似合わないの印象をいちばん大きく左右します。

鏡の正面に立って、眉のどこにフレームの上辺が来ているかを確認してください。目安は3つに分かれます。

眉が隠れている:フレームの上辺が眉にかぶっている状態です。顔の印象が強くなり、メガネが主役になります。悪いことではなく、意図してそう選ぶ人もいます。ただ「メガネをかけている感じを出したくない」方には重すぎることが多いです。

眉のすぐ下に沿っている:眉のラインとフレームの上辺が近く、平行に近い関係です。多くの方が「しっくりくる」と感じるのはこの位置で、顔の造作とメガネが一体に見えます。迷ったらここを基準にすると判断が早くなります。

眉から離れて低い位置にある:眉とフレームの間に大きく肌が見えている状態です。顔が縦に長く見えたり、間が抜けた印象になることがあります。フレームのデザインで意図的にそうしている場合もありますが、意図せずこうなっているなら、上辺の位置が合っていない可能性があります。

もうひとつ、眉の「形」との関係も見てください。眉が直線的な方に緩いカーブのフレーム、眉が丸くアーチを描く方に真っすぐな上辺のフレーム。それぞれ線がぶつかって、落ち着かない印象になることがあります。眉のラインとフレームの上のラインが似た向きを向いているかどうか。それだけ見れば十分です。

見る点2:目がレンズのどこに来るか

次に見るのは、レンズの枠の中で自分の目がどこにあるかです。ここは似合うかどうかだけでなく、かけたときの快適さにも関わります。

理想の位置を言えば、目はレンズの中央からやや内側・やや上寄りにあると、顔の中で自然に見えます。確認するときは、鏡を正面に見て、次の2つを順番に見てください。

左右:黒目がレンズの真ん中付近にあるか、それとも内側や外側に寄っているか。極端に外側に寄っていれば、フレームの横幅が顔に対して狭い。逆に内側に寄りすぎていれば、横幅が広すぎるか、ブリッジ(左右をつなぐ部分)の幅が顔に合っていないサインです。

上下:目がレンズの上端に張りついていないか、逆に下半分に沈んでいないか。上に寄っているとまつげがレンズに当たりやすく、下に沈んでいると視線を上げたときにフレームの上辺が視界に入ってきます。

あわせて見ておきたいのが、フレームの外側の端と、こめかみ(顔の輪郭)の位置関係です。フレームの端が顔の幅から大きく外に出ていると、かけたときに顔が小さく頼りなく見えがちで、内側に入りすぎていると窮屈な印象になります。輪郭の線と、フレームの端がだいたい揃っているあたりが落ち着きます。

ここで大事なのは、この位置関係は調整でかなり変わるという点です。鼻あての開き具合やパッドの高さを動かすと、レンズの中の目の位置は上下に移動します。テンプル(つる)の曲げ具合を変えれば前後の傾きも変わります。試着の段階で「ちょっと目が下に来ているな」と思ったら、それを言葉にして伝えてください。形そのものを諦める前に、直せる範囲かどうかを一緒に確認できます。

見る点3:肌と髪の色に対する「明度」

3つ目は色ですが、「何色が似合うか」ではありません。見るのは明度、つまり明るさの度合いです。

フレームの色を、自分の髪の色と並べて考えてみてください。髪よりずっと濃い色のフレームをかけると、顔の中でメガネの線がはっきり主張します。輪郭がくっきりして、意志のある印象になります。一方、髪と同じくらいの明るさ、あるいは少し明るいフレームは、顔になじんで存在感が引きます。

どちらが正解ということはなく、選ぶ基準はこうです。

  • メガネを顔の一部として自然に見せたい → 髪の明るさに近づける
  • メガネで印象を作りたい、輪郭をはっきりさせたい → 髪より濃く

肌の色との関係も同じ考え方です。肌が明るめの方が濃い色のフレームをかけると、コントラストが強く出て顔が引き締まって見えます。逆に肌になじむ明るさのフレームは、やわらかい印象になります。

もうひとつ実用的なポイントとして、フレームの太さと明度はセットで効くことを覚えておくと便利です。細いメタルフレームなら濃い色でも線が細いので主張は控えめ。太いセルフレームは、明るい色でも面積があるぶん存在感が出ます。「濃い色は苦手」と思っている方が、細身のフレームなら意外にすっきりかけられる、ということがよくあります。

色を見るときは、できれば鏡から少し離れて、全身か上半身が入る距離で見てください。至近距離だとフレームの素材や質感ばかりが目に入って、明度のバランスが判断しづらくなります。

試着で失敗しやすい点と、うまくいかないこともある話

3つの見る点をお伝えしたうえで、実際の試着でつまずきやすいところも正直に書きます。

一度に何本もかけ替えると判断できなくなる。5本、6本と続けてかけると、印象がリセットされないまま重なっていきます。3本くらいかけたら、いったん全部外して、素顔の自分を鏡で見る。それだけで感覚が戻ります。

「見慣れない」を「似合わない」と取り違える。長く同じ形のメガネをかけてきた方が新しい形を試すと、まず違和感が来ます。それは似合っていないのではなく、単に見慣れていないだけのことが多い。判断に迷ったら、上の3点に立ち返ってください。眉との関係、目の位置、明度。この3つが破綻していないなら、違和感の正体は「慣れ」の側にあります。

未調整の状態で判断してしまう。棚から取った直後のフレームは、まだその方の顔に合わせていません。ずり落ちる、傾く、片方が高い。その状態で見た印象は本来のものではありません。かけ心地の違和感は、調整の余地があるかどうかを先に確かめてから、形の判断に進むほうが正確です。

そして、うまくいかないこともあります。3点すべてがきれいに揃う1本が、その日の売場に見つからないことは普通にあります。鼻の高さや目と目の間の幅は人それぞれで、調整で寄せられる範囲にも限界があります。「似合うけれど、かけていると当たる」「かけ心地はいいけれど、目の位置が下に来る」。そういう場合は、どちらを優先するかを決めることになります。

もうひとつ、これは線を引いておきたいことです。見え方のつらさや目の不調は、メガネの選び方の話とは別です。かすむ、痛い、まぶしさが以前と違う、見え方が急に変わった。こうした症状は眼科医が診る領域で、メガネ店が判断してよいものではありません。お店でできるのは、見え方についてのご相談をうかがうことと、フレームやレンズを使いやすく調整することまでです。順番として、気になる症状があるなら先に眼科を受診していただくのが確実です。

決める順番のまとめ

売場で迷ったときは、この順番でどうぞ。

  1. 気になる1本をかけて、眉とフレーム上辺の関係を見る(沿っているか、かぶっているか、離れているか)
  2. 次にレンズの中の目の位置を見る(左右の寄り、上下の寄り、フレームの端と輪郭)
  3. 鏡から少し離れて、髪と肌に対するフレームの明度を見る
  4. 3本試したらいったん外して、素顔を見てリセットする
  5. 気になった点は言葉にして伝える(「目が下に来る気がする」「ここが当たる」でも十分です)

言葉にしづらいときは「なんとなく落ち着かない」でかまいません。それを一緒に3点に分解していくのが、売場での相談です。写真や画面上のシミュレーションでは、眉との距離や明度のなじみ方までは再現しきれません。実物をかけて、鏡の前で調整しながら見比べられるのは、店で選ぶ数少ない利点だと思っています。

メガネ売場では一級眼鏡作製技能士が常駐しているので、かけ具合の調整や見え方のご相談も、選びながらその場で進められます。フレームの一覧はメガネ・サングラスのページにまとめてあります。

最後に一言だけ。3つの点が全部そろわなくても、気に入った1本は気に入った1本です。理屈は、迷ったときに立ち返る手すりくらいに思っていてください。

関連記事