子供がメガネを嫌がる理由を4つに分けて見分ける
せっかく作ったメガネを、子供がかけてくれない。玄関を出るまではかけているのに、帰ってきたら鞄の中に入っている。声をかけると「だって嫌なんだもん」で会話が終わってしまう。よくあるご相談です。
この記事では、その「嫌」を重さ・当たる痛み・見え方の違和感・見た目の4つに分け、どれが原因かを家で見分ける手順と、それぞれに対して店でできる調整・できないことを整理します。
「嫌がる」は、そのままでは解決できない
子供は自分の不快を言葉にするのが苦手です。鼻の付け根が痛くても「痛い」ではなく「変な感じ」と言い、見えにくくても「見えない」ではなく「つまらない」と言う。大人が受け取るのは「嫌」という一語だけになります。
ここで「せっかく買ったんだから」と叱ってしまうと、子供はメガネそのものを「怒られるもの」として覚えます。そうなると、本当は調整で解決できたはずの問題まで、話してくれなくなる。まず親がやることは、説得ではなく原因の切り分けです。
切り分けの軸は4つ。重さ、当たる痛み、見え方の違和感、見た目です。この4つは対処法がまったく違います。
家で見分ける、4つの質問と観察
特別な道具はいりません。かけている場面を見て、次のように当たりをつけます。
重さを疑う合図 鼻の上を指で押し上げるしぐさが多い。ずり下がったまま、レンズの上から前を見ている。かけて30分ほどで外したがる。走ったり跳ねたりする遊びのときだけ外す。これは重さ、あるいはフレームが緩んで保持できていないサインです。
当たる痛みを疑う合図 外したあとの鼻の脇や、耳の後ろに赤い跡が残っている。こめかみを触る。左右どちらか一方ばかりを気にする。跡は、外して数分で消えるものなら許容範囲ですが、赤みがしばらく残るなら当たりが強すぎます。
見え方の違和感を疑う合図 遠くを見るときだけ外す、または近くの本を読むときだけ外す。首を傾けたり、あごを上げ下げして見る角度を探している。歩くときに足元を気にする、段差でつまずく。かけたあと目をこすったり、まぶしそうにする。
見た目を疑う合図 家ではかけるのに、外に出ると外す。園や学校から帰ると鞄に入っている。友達の名前を出しながら「なんか言われた」と話す。写真を撮るときに外す。これは装用感の問題ではありません。
注意したいのは、原因がひとつとは限らないことです。「痛いうえに、友達に言われた」が重なると、子供はまとめて「嫌」と表現します。ひとつ潰したら、また別の理由が出てくることもあります。
重さと痛みは、店でできることが多い場所
この2つは、お直しや調整でかなり改善できる余地があります。
まず、フレームが子供の顔に対して大きすぎないか。大きいフレームはレンズの面積が増えて重くなり、ずり下がりやすくなります。買ったときはちょうどよくても、成長で耳の位置や鼻の高さが変わり、当たり方が変わることもあります。
次に、耳にかかる部分(テンプル)の曲がり方。耳の付け根の手前で曲げ始めているか、耳の後ろの骨に沿っているか。ここが合っていないと、重さが鼻だけに集中して痛みになります。逆に締めすぎるとこめかみが痛くなる。
鼻あても調整点です。子供は鼻の付け根がまだ低いことが多く、大人と同じ形状の鼻あてだと接地が点になって痛みが出ます。角度を変える、パーツそのものを別の形に替える、といった手が使えます。フレームの構造によって替えられるものと替えられないものがあり、実物を見ないと判断できません。
ここで大事なのは、家で自分で曲げないこと。子供用フレームは素材によって曲げに強いもの弱いものがあり、冷えた状態で無理に力を加えると割れたり、左右のバランスが崩れて余計に当たりが強くなります。調整は道具のある場所でしてもらってください。
見え方の違和感は、線引きが必要な話
見え方については、はっきりさせておきたいことがあります。
目の症状や病気に関わることは、眼科医の領域です。 見えにくそうにしている、目をこする、片目をつぶる、まぶしがるといった様子が続くなら、まず眼科を受診してください。メガネ店でできるのは、処方に沿ってメガネを作ることと、かけ具合の相談・調整までです。ここは越えられない線です。
そのうえで、店で確認できることもあります。たとえばレンズの中心と、子供の目の位置がずれていないか。フレームがずり下がったまま使われていると、本来見るべき位置よりレンズの上のほうから覗くことになり、見え方が落ち着きません。これはレンズの度数の話ではなく、かけ位置の話なので、調整で直る場合があります。
また、初めてメガネをかけた直後は、床が近づいて見えたり、まっすぐな線が歪んで見えたりして、慣れるまで時間がかかることがあります。数日から数週間で落ち着くことが多い一方、いつまでも歪みや頭の重さを訴える場合は、そのまま我慢させずに、処方したところと店の両方に相談してください。「慣れの途中」なのか「合っていない」のかは、様子を伝えてもらえると判断の材料が増えます。
見た目が理由のときは、説得より選び直し
4つのなかで、いちばん大人が軽く見てしまうのが「見た目」です。でも子供にとっては切実で、しかも調整では解決しません。
このときに効くのは、子供自身に選ばせることです。親が「これが似合う」と決めた一本より、自分で決めた一本のほうが、多少の不便があってもかけ続けてくれます。色でも形でも、決定権を渡す。大人から見て意外な選択でも、まずは本人の希望を軸にしたほうが結果的にうまくいきます。
実物をかけて選べる場所で、鏡の前で本人に決めてもらう。並べて比べる、写真を撮って見せる。この工程を省いて通販や親の判断だけで決めると、装用感に問題がなくても外してしまう、ということが起きます。
それでも、園や学校での言われ方が理由なら、メガネ側でできることには限界があります。時間が解決する部分も正直あります。無理にかけさせず「授業のときだけ」など場面を限って始めるのも、ひとつの現実的な折衷案です。
見分けから相談までの順番
最後に手順としてまとめます。
- 外したあとの跡と、外すタイミングを数日観察する
- 重さ・痛み・見え方・見た目のどれに近いか、当たりをつける
- 見え方に関わりそうなら、まず眼科へ
- 重さ・痛み・かけ位置なら、作った店か調整してもらえる店へ持っていく
- 見た目なら、次の一本は本人に選ばせる
相談に行くときは、メガネ本体と、可能なら処方の内容が分かるものを持っていくと話が早くなります。「いつ・どこで・どのくらいで外すか」をメモしていくと、こちらも見るべき場所を絞れます。
そして、成長期は顔の形が変わります。作ったときに合っていても、数か月で当たり方が変わるのが普通です。定期的にかけ具合を見てもらうことを前提にしてください。
HAUSでは3歳からの子供のメガネに対応していて、一級眼鏡作製技能士が常駐しています。鼻あてのカスタマイズもご相談いただけます。実際にかけてみて、その場で当たり方を見ながら決められるのは店の利点なので、うまくいかないときは一度持ってきてみてください(メガネ・サングラス)。叱って解決する話ではない、というところだけは、はじめに共有しておきたいところです。