松江の散歩コースは、時間帯と座れる場所で組む
引っ越してきて少し落ち着いた頃、あるいは連泊の二日目あたりに、「今日は特に予定がないから、ちょっと歩こうかな」と思うことがあります。ところが調べると出てくるのは名所の紹介ばかりで、自分が知りたい「どのくらいの距離を、どう歩けばちょうどいいのか」は書いていない。この記事では、朝・夕方・休日の午後という三つの時間帯ごとに、歩く距離と途中で座れる場所をセットで決める、松江での日常の散歩コースの組み立て方をまとめます。晴れた日を前提にした話です。
続かない散歩の原因は、距離ではなく「座れないこと」
散歩を始めるとき、たいていの人は距離から決めます。三キロ歩こう、三十分歩こう、と。それ自体は悪くないのですが、続かなくなる理由の多くは距離ではなく、「途中で座れない設計になっている」ことにあります。
疲れたときに腰を下ろせる場所がないと、引き返すしかありません。引き返すのは気分が悪いので、次から出かけるのが億劫になる。逆に、途中に座れる場所が挟まっているコースは、その日の体調に合わせて「ここで折り返す」「もう少し行く」と調整できます。
なので、コースは距離ではなく座れる場所の間隔から組みます。目安は、歩き始めてから十五分から二十分に一か所。大人が普通に歩くと一キロあたり十二分から十五分ほどなので、一キロから一・五キロごとに一つ、と考えると地図に落としやすくなります。
松江は宍道湖、大橋川、堀と水辺が多く、水際の道は起伏が少なくて歩きやすい。ただし、区間によってベンチや日陰の有無がかなり違います。歩き出す前に地図を眺めて、座れそうな点を三つだけ打っておく。公園のベンチに限らず、階段状になった護岸や、バス停の待合、お茶を飲める店でもかまいません。お店の前や私有地に、断りなく腰を下ろさないことだけ気をつけます。
朝は二十〜三十分。信号と坂を先に外す
朝は体も頭もまだ起き切っていないので、距離を欲張らないほうがうまくいきます。一・五キロから二キロ、時間にして二十分から三十分。これで十分です。
朝のコースで優先する条件は三つ。信号待ちが少ないこと、段差や急な坂がないこと、同じ道をそのまま戻れること。判断することが少ないほど、朝の頭には楽です。住宅地の中を折れ曲がって進むより、川沿いや湖岸のように一本で続く道のほうが向いています。松江はこの条件に合う道を見つけやすい町です。
朝に多い失敗は、東に向かってまっすぐ歩く道を選んでしまうこと。低い朝日が正面に入ると、ずっと目を細めて歩くことになります。行きを西向き、帰りを東向きにするか、つばのある帽子を持って出る。それだけで歩きやすさが変わります。
朝は、座る場所は折り返し地点に一つあれば足ります。むしろ「座らなくても帰ってこられる距離」に設計しておくのが、朝のコツです。出勤前なら、家を出る時刻ではなく帰り着く時刻から逆算して決めます。
夕方は四十〜六十分。日没時刻から逆算する
夕方は、日が沈む時刻から逆算してコースを決めます。宍道湖の夕景は松江でよく知られていますが、ここで言いたいのは名所として見に行く話ではなく、「西に開けた水辺があるのだから、方角の目印として使える」という意味です。
組み立て方はこうです。日没のおよそ三十分前に、西側の開けた場所に着くように家を出る。そこで十分から十五分座り、日が沈んでから帰り始める。日没後二十分ほどは意外と明るく歩けますが、そこから先は急に暗くなります。帰り道は街灯のある側を選び、暗くなりそうな区間は行きのうちに通っておくと安心です。
夕方のコースは、朝より座る時間が長くなります。だから座れる場所は途中ではなく終点側に置く。腰を下ろして水面を眺める時間が、そのまま折り返しの合図になります。
注意したいのは、晴れた日の西日の強さです。低い位置からの光は帽子のつばの下をくぐって入ってきますし、水面の反射も加わります。まぶしさで顔をしかめ続けると、首や肩が張ってくることがあります。
休日の午後は一〜二時間。目的地は一つだけ置く
休日の午後は時間があるぶん、つい欲張って何か所も回ろうとします。そうすると散歩ではなく観光になり、次の休みには疲れて出かけなくなる。目的地は一つだけにしておくのが、日常の散歩として続けるコツです。
距離の目安は四キロから六キロ、休憩を含めて一時間半前後。途中で一度、十五分以上きちんと座る時間を入れます。座って水を飲むかどうかで、帰り道の足取りがはっきり変わります。
午後の散歩で先に決めておきたいのが、帰り方です。行きは歩けても、帰りは同じだけ歩きたくない日があります。バスの時刻を一本だけ調べておく、車を置いた場所を決めておく。この保険があると、気が楽になって遠くまで歩けます。
もう一つ。買い物を絡めるなら、荷物になるものは終盤に。持って歩く時間が長いほど、散歩が「用事」に変わっていきます。
晴れた日のまぶしさと、見え方の線引き
晴れた日の散歩でいちばん体に効いてくるのは、実は距離よりまぶしさです。西日、水面の反射、明るい路面。目を細めると顎が上がったり下がったりして、歩く姿勢そのものが崩れます。帽子のつばは上からの光には効きますが、横や下から入る低い光にはあまり効きません。
ここで線を引いておきます。歩いているときに目が痛む、かすむ、ちらつく、急に見えにくくなる——こうした眼の症状や病気は眼科医の領域です。メガネ店で判断できることではありませんし、散歩で見え方が良くなるといった話でもありません。気になる変化があれば、まず眼科に相談してください。
メガネ店にできるのは、見え方の相談と、メガネの調整です。まぶしさが気になるなら今のレンズをカラーに替える手がありますし、歩くうちにずり落ちる、汗で滑るといった不具合は、かけ具合の調整や鼻あてのカスタマイズで落ち着くことがあります。松江市乃白町のHAUSにも一級眼鏡作製技能士が常駐しているので、散歩のついでに見てもらうくらいの気持ちで構いません。ただし、調整で追いつかない場合もあることは先にお伝えしておきます。
うまくいかない日と、続けるための小さな調整
毎日同じようには歩けません。夏の日中は、晴れているというだけで無理をしない理由になります。その時期は朝か日没前に時間をずらす。冬は日が短いので、夕方のコースを三十分前倒しする。同じコースでも、季節によって日陰の位置が変わるので、年に何度か組み直すつもりでいるといいと思います。
飽きたときは、距離を伸ばすより先に、いつものコースを逆回りにしてみてください。見える景色の順番が変わるだけで、別の道のように感じます。
まとめると、順番はこうです。まず座れる場所を地図に三つ打つ。次に時間帯を決める。最後に距離を当てはめる。松江は水辺の平坦な道が多いぶん、この組み立てがしやすい町です。歩数を競うのではなく、途中で座ることを前提にしたコースのほうが、結局は長く続きます。