メガネのこと

度付きサングラスの作り方は色の濃さから決める

「サングラスをかけたいけれど、度が入っていないと結局見えない」。コンタクトを使わない方から、よくいただく相談です。いざ作ろうとすると、フレーム、レンズの色、濃さ、度数と決めることが多く、どこから手をつければいいのか分からなくなる。この記事では、度付きサングラスを作るときにいちばん後悔しやすい「色の濃さ」をどう決めるかを軸に、決める順番を整理します。

度付きサングラスは「濃さ」から決めると迷わない

度付きサングラスを作る工程そのものは、実はふつうのメガネと同じです。フレームを選び、度数を測り、レンズを決めて、かけ具合を合わせる。違うのは、そこに色と濃さという変数がひとつ増えることだけです。

そして、出来上がってから「思っていたのと違う」となる原因は、フレームより色の濃さであることが多い。理由ははっきりしていて、濃さは店内の照明の下では正しく判断できないからです。店の中で「ちょうどいい」と感じた濃さは、真夏の屋外では薄すぎることがありますし、逆に夕方の帰り道では暗すぎることもあります。

ですから順番としては、フレームを見て回る前に、まず「自分はどの場面で、いちばん長くこれをかけるのか」を一つだけ決めてしまう。ここが決まれば、濃さの範囲が絞れて、フレーム選びもレンズ選びもぐっと楽になります。

場面別、濃さのおおよその目安

レンズの色の濃さは、一般にパーセンテージで表されます。数字が大きいほど濃い、という表記が使われることが多いですが、店やメーカーによっては「可視光線透過率」(光をどれだけ通すか)で言う場合もあり、こちらは数字が大きいほど薄くなります。逆になるので、相談するときは「濃さのことか、透過率のことか」を確認すると話が食い違いません。

目安として、場面ごとの傾向をまとめます。

街歩き・買い物・通勤 うっすら色が入る程度から、中くらいまで。外して室内に入る回数が多いので、あまり濃いと出入りのたびに掛け外しが必要になります。淡い色なら、かけたまま店に入っても違和感が出にくい。ファッション寄りに使いたい方も、この範囲に収まることが多いです。

運転 中くらい。フロントガラス自体がある程度光をカットしているので、真っ黒にすると、トンネルや高架下、夕方で暗く感じます。信号や標識の色が変わって見えにくい色味を選ぶことも大切です。

海・川・雪山・ゴルフなど、反射の強い場所 ここは濃いめ。水面や砂、雪からの照り返しは、上から来る日差しとは別物です。濃度に加えて、反射光を抑える偏光レンズを検討する価値があるのもこの用途です。ただし偏光レンズは、液晶の見え方が変わることがあるので、カーナビやスマホを頻繁に見る方は試してから決めたほうが安心です。

山歩き・キャンプなど、明暗が入れ替わる場所 木陰と直射が交互に来るので、濃すぎると足元が見えづらくなります。中くらいまでに留めておくか、明るさで濃さが変わる調光タイプを検討する手もあります。

もうひとつ、色味の話も少しだけ。グレー系は景色の色をあまり変えずに全体の明るさを落とす方向、ブラウン系は輪郭のメリハリが出やすい方向、グリーン系はその中間、といった傾向があります。ただしここは好みの差が大きいので、同じ濃さで色違いを並べてかけ比べるのがいちばん早いです。

運転で使うなら、先に確認しておきたいこと

運転用として作るなら、二つ押さえておきます。

一つは夜間の扱い。日本では、夜間の運転に使うサングラスは光をよく通すもの(可視光線透過率が高いもの)でなければ適さないとされています。日中用に作った濃いレンズは、夜はかけない前提で考えてください。「一本で昼も夜も」は成立しにくい、と割り切ったほうが安全です。

もう一つはフレームの形。運転中は横や斜め後ろを確認する動きが多いので、テンプル(つる)が太いフレームだと視界の端が隠れます。カーブの強いスポーツタイプは見た目が良い一方、度数によってはレンズが作れない、あるいは歪みが出やすいことがあります。度が強めの方は、フレームを気に入ってから「これに度は入りますか」と確認するのではなく、先に確認してから見て回るほうが、がっかりせずに済みます。

普段のメガネとの2本持ち、現実的な使い分け

度付きサングラスは、普段のメガネの「置き換え」ではなく「追加」です。だからこそ、2本の役割分担を先に決めておくと無駄がありません。

分け方はシンプルで、普段のメガネを主役に、サングラスは場面担当にする。一日の大半(室内、仕事、家)は普段のメガネ。屋外にいる時間が長い日だけサングラスに持ち替える。この形なら、サングラス側は濃さを思い切って場面に振り切れます。中途半端な濃さで「どっちつかず」になるのが、いちばんもったいない失敗です。

度数については、普段のメガネと同じ処方で作るのが基本ですが、遠近両用を使っている方は少し考えどころがあります。屋外中心で使うなら手元の見え方は優先度が下がるので、遠く重視の設計にする、あるいは遠く専用にしてしまう、という選択もあります。逆に、屋外でもスマホや地図を見る時間が長いなら、普段と同じ遠近両用にしたほうが混乱しません。どちらが正解というより、その一本を使う場面次第です。

持ち歩き方も地味に効きます。掛け替える前提なら、外したほうを入れるケースが必要ですし、車に置きっぱなしにすると高温でフレームが変形することがあります。この辺りは作る前から想像しておくと、実際に使う回数が変わってきます。

新調せず、今のレンズをカラーに替える手もある

「もう一本増やすほどではないけれど、まぶしさは何とかしたい」。そういうときは、今使っているメガネのレンズをカラー入りに交換する、という選択肢もあります。フレームはそのまま、レンズだけを色付きに替える方法です。

この場合は一本を兼用することになるので、濃さは控えめが現実的です。うっすら色が入る程度なら、室内でも極端に暗く感じにくく、屋外に出たときの光のきつさは少し和らぐ。「サングラスというより、色の入ったメガネ」というイメージです。

ただし、フレームの状態によっては交換をおすすめできないことがあります。長く使って金属が疲れていたり、フチなしタイプで穴の位置に負担がかかっていたりすると、加工の途中で傷むおそれがある。持ち込みで相談されたときは、そこも含めて正直にお伝えしています。

なお、まぶしさの感じ方が最近急に強くなった、片方の目だけ見え方が違う、といった変化がある場合は、レンズの色で対処する前に眼科を受診してください。目の症状や病気の診断は眼科医の領域です。店でできるのは、見え方の相談と、メガネの度数・かけ具合の調整までです。ここは線を引いてお話ししています。

決める順番のまとめと、店での確かめ方

最後に順番を整理します。

  1. いちばん長く使う場面を一つ決める(街/運転/海・雪/山)
  2. その場面に合う濃さの範囲を決める
  3. 範囲の中で、色味をかけ比べて選ぶ
  4. 度数を、その場面に合わせて決める(遠く重視か、普段と同じか)
  5. フレームを選ぶ(度数が強い方は、入るかどうかの確認を先に)

うまくいかないこともあります。濃さの感覚は個人差が大きく、同じ数字でも「明るすぎる」と感じる方と「ちょうどいい」と感じる方がいます。作り直しが利かない部分でもあるので、迷ったら一段薄いほうを選ぶと後悔が少ない、というのが経験上の傾向です。薄くて物足りない分は帽子のつばで補えますが、濃すぎるのは補いようがありません。

そして、こればかりは実物をかけて、できれば店の外の明るさで確かめるのがいちばんです。メガネ・サングラスの売場では一級眼鏡作製技能士が常駐していて、検眼は無料、カラーレンズへの交換も承っています。濃さのサンプルを並べて見比べながら、「この日のためにかける一本」を一緒に絞り込んでいけたらと思います。決めきれない日は、決めずに帰っていただいてもかまいません。

関連記事