メガネが顔幅に合わない。3つのサインで見分ける
かけて三十分もすると、こめかみのあたりがじんわり重い。あるいは逆に、うつむくたびに前へ落ちてくるし、歩くと横に揺れる。形は気に入っているのに、どうも落ち着かない——こういうとき、原因は「似合う・似合わない」ではなく、フレームの横幅と自分の顔の幅が噛み合っていないことがあります。この記事では、テンプル(つる)の開き方・こめかみの跡・耳の位置という、体の側に出る3つのサインから、幅が合っているかどうかを自分で見分ける手順をまとめます。
幅が合っているかは、フレームの数字より「体の側」に出る
メガネのテンプルの内側や、ブリッジの裏には「52□18-145」のような刻印が入っていることがあります。順に、レンズ一枚の横幅、左右のレンズの間隔、テンプルの長さ。単位はミリです。今使っている一本の数字を控えておくと、次を選ぶときの手がかりにはなります。
ただし、この数字だけで幅の合う合わないは決まりません。同じ「52」でも、レンズの縁の厚み、テンプルの付け根(ヨロイ)が外へどれだけ張り出しているか、フレーム全体の反り具合で、顔に当たったときの広がり方はかなり変わります。メーカーによって測り方の癖もあります。数字は候補を絞る道具であって、決め手にはならない、くらいの位置づけで見るのが現実的です。
では何を見るか。顔に乗せたときに、体の側が出しているサインを読みます。以下の3つは、家の鏡の前で今すぐ確かめられます。
サイン1:テンプルが、根元からどちらへ逃げているか
メガネをかけて、横から鏡を見ます(手鏡を使うか、スマートフォンのインカメラを横向きに構えると見やすいです)。見るのはテンプルの付け根から耳までの線です。
幅が足りないときは、テンプルが付け根のところで外へ押し出され、「ハ」の字に広がります。こめかみに当たって、そこを支点に外へ逃げている状態です。フレームの端とこめかみの間に、指が一本すっと入るかどうかを試してみてください。指が入る余地がまったくなく、テンプルが皮膚を押し返しているようなら、正面の幅が足りていない可能性が高いです。
幅が余っているときは逆で、テンプルとこめかみの間に隙間が空き、耳の手前まで一度も顔に触れません。この場合、メガネを支えているのは鼻あてと耳だけになります。首を左右に振ると、フレームが遅れて揺れるのが分かるはずです。
もうひとつ、平らな机に置いて見る方法もあります。テンプルを開いて置き、上から見たときに左右の開き角がそろっているか。片方だけ外へ張っていれば、そちらのこめかみに当たりが集中します。置くときはレンズを下にしないでください。
サイン2:こめかみの跡は、「消えるまでの時間」で読む
外したあとに跡が残ること自体は、珍しいことではありません。見てほしいのは、残る時間と、残る場所です。
数分で消えるなら、日常的な範囲と考えていいでしょう。外して10分以上たっても赤みやへこみが残る、あるいは片側だけくっきり残るなら、その一点に力が集まっています。左右どちらかだけというのは、顔の左右差と、フレームの左右差のどちらか(または両方)が効いている合図です。
跡の「位置」も分けて見ます。テンプルの付け根に近い、こめかみの前寄りに跡が出るなら、正面の幅が足りていない側の話。耳に近い後ろ寄りだけに跡が出るなら、テンプルの曲げ位置や締め具合の問題で、幅とは別の要因のことが多いです。同じ「こめかみが痛い」でも、前寄りか後ろ寄りかで見る場所が変わります。
なお、締めつけ感が気になるときに我慢し続ける理由はありません。ただし、頭痛や目の不調そのものについては、メガネ店で原因を判断できる領域ではありません。眼の症状や病気は眼科医が診るものです。店でできるのは、見え方についての相談と、フレームの調整・選び直しまで。ここは正直に線を引いておきます。
サイン3:耳の位置は、左右で違っているのが普通
3つめは耳です。幅(正面の横幅)と長さ(テンプルの長さ)は別の寸法なのですが、この二つは体感の上で混ざりやすい。
耳の付け根の高さは、左右でそろっている人のほうが少ないくらいです。前後の位置もわずかに違います。正面から鏡を見て、レンズの上辺のラインが水平か、片側だけ下がっていないかを確かめてください。フレーム自体は左右対称に作られていますから、傾いて見えるなら、耳の高さ差か、フレームのゆがみのどちらかです。
幅が合っていても、耳までの距離が合っていなければメガネは落ち着きません。逆に、耳のところでしっかり引っかかっているせいで、正面の幅が足りていないことに気づかないまま使い続けている、というのもよくあります。「こめかみに当たるけれど、耳の後ろで止まっているからずれはしない」という状態は、幅が足りないサインを耳が肩代わりしている格好です。
「狭い」と「広い」は、対処できる範囲が違う
幅が足りない場合、テンプルの開き角を少し外へ振ることで、当たりを和らげられる余地はあります。ただし正面の幅そのもの——レンズの大きさとブリッジの合計——は、調整では変えられません。寄せられる範囲には限りがあり、当たりが強いときは、フレームを選び直したほうが早いことも多いです。
幅が余っている場合は、テンプルを内側へ絞ることである程度は支えられます。ただし絞りすぎると、今度は耳の後ろに力が集まりますし、前側が浮いて重心が崩れます。ゆるいから締める、という単純な足し算では解決しないことがある、というのは知っておいてください。
そして、自分でテンプルを曲げるのはおすすめしません。丁番(ちょうつがい)とネジ穴に負担がかかり、片方だけ緩む原因になります。素材によっては、冷えたまま力を加えると割れたり、塗装が剥げたりもします。
選び直すときの順番と、実物で確かめたいこと
最後に、幅を基準に選ぶときの順番をまとめます。
- 今の一本の刻印を控える(見当たらなければ、店で測ってもらえます)
- かける前に、フレームを顔に当てて、左右の端がこめかみの位置に来るかを見る
- かけたら、横から見てテンプルの付け根に指が入るかを確かめる
- 首を振る、うつむく、を一度ずつやってみる
- 気に入ったら、調整してもらったうえでもう一度かけ、跡の出方を見る
数字だけで選びにくいのは、この3から5が実物でしかできないからです。かけて数分の印象と、調整後の印象は、同じフレームでも別物になることがあります。
うまくいかないこともあります。顔幅に対して選べる既製フレームの幅は無限にあるわけではなく、特に幅が広めの方・狭めの方は、候補がぐっと絞られることがあります。その場合は「気に入った形の中から幅で選ぶ」のではなく、「幅が合うものの中から形を選ぶ」という順番に切り替えたほうが、結果的に長く使えます。
HAUSのメガネ・サングラス売場には一級眼鏡作製技能士がいますので、今かけている一本の当たり方を見てもらうところから相談できます。鼻あてのカスタマイズにも対応しています。幅が合っているかどうかは、言葉で説明するより、かけて横から見てもらうのが一番早い話でもあります。