メガネの度数が左右で違う。厚みを鏡で確かめる
処方箋や注文票を受け取って、左右の数字が揃っていないことに気づく。「片方だけレンズが分厚くなるのでは」「かけたときに傾いて見えないか」——この不安は、売場でもよく聞きます。
この記事では、数値そのものの意味ではなく、左右差があるときに店の鏡の前で確かめておくことを、見る順番の形でまとめます。見え方や目の状態そのものについては眼科医の領域なので触れません。あくまで「かけたときの見た目と、かかり具合」の話です。
左右差で実際に出てくるのは、厚みと「縁の線」の差
左右で度数が違うと、そのぶんレンズの厚みにも差が出ます。近視系のレンズなら外周(コバ)が厚くなり、遠視系なら中心が厚くなる。度数の強い側のほうが、その特徴が強く出ます。
ただ、ここで知っておきたいのは、厚みは度数だけで決まらないということです。同じ度数でも、
- レンズの外形が大きいほど、外周は厚くなる
- 目の位置と枠の中心がずれているほど、片側に厚みが寄る
- レンズの屈折率(いわゆる薄型のグレード)で、仕上がりの厚みは変わる
つまり、度数の数字だけ見て「こんなに差があるなら厚みも目立つはず」と決めつける必要はありません。フレームの選び方とレンズの選び方で、見える差はかなり動きます。
もうひとつ、厚みより先に気づかれやすいのが縁に出る線です。レンズの外周が厚くなると、斜めから見たときにそこが白く光ったり、輪が何重かに重なって見えたりします。本人は気づきにくく、人から見たときに「厚いな」と感じさせているのは、厚み自体よりこの反射のことが多いです。
厚い側を「フレームの縁で隠す」という考え方
左右差があるときの基本の作戦は、厚くなる側をフレームの枠で覆ってしまうことです。見るのは次の三点。
1. 枠の太さ(見付け) 正面から見たとき、レンズの縁を覆っている枠の帯が、どのくらいの幅と厚みを持っているか。この帯がしっかりしているフレームほど、レンズの外周は中に収まって目立ちません。縁なし(リムレス)や、上だけ枠があるタイプは、レンズの縁がそのまま外に出ます。左右差が気になるなら、まずは枠が一周あるものから見ていくと話が早いです。
2. レンズの外形の大きさ 大きい玉型は、レンズの中心から縁までの距離が長くなるぶん、外周が厚くなりやすい。同じ度数でも、ひとまわり小さい形に替えるだけで仕上がりの印象が変わることがあります。
3. 形の角ばり具合 四角く角が張った形は、角の部分が中心から遠くなるので、そこだけ厚みが出やすい。丸みのある形、縦幅が抑えられた形のほうが、外周の厚みは均一に近づきます。
この三点は、度なしの試着フレームをかけた段階でも判断できます。店の人に「左右差があるので、厚くなる側が枠に収まるか見てほしい」と伝えると、その場でレンズを入れたときの見当を話してもらえるはずです。
鏡で見る順番1:正面——左右の「線の数」を揃える
ここからは鏡の前での手順です。まずは正面。見るのは自分の顔ではなく、枠とレンズの境目。
- 枠の内側に、レンズの縁の線が何本見えるか。片側だけ線が多く見えていないか
- 枠の帯の幅が、左右で同じに見えるか(厚いレンズが入ると、その側だけ枠が細く見えることがある)
- 目の位置が、左右のレンズの中でだいたい同じところに来ているか
度なしの試着フレームではレンズの線は出ませんが、枠の帯の幅と目の位置は今の段階で確かめられます。目の位置が枠の中心から外へずれているほど、そちら側は厚みが寄ります。ここは数ミリの話なので、自分で判断しきれなければ「中心からどれくらいずれているか」を聞いてしまうのが早いです。
鏡で見る順番2:斜め45度と真横——厚みと反射が出る角度
次に、顔を斜め45度に振ります。正面では見えなかったレンズの外周と、こめかみ側の枠がここで見えてきます。
- 枠の外側に、レンズがはみ出して見える部分がないか
- 光を受けたとき、縁が白く光る帯になっていないか
- 左右を振り比べて、片側だけその帯が太くないか
続いて真横。横から見ると、レンズが枠より前に出ているか、奥に引っ込んでいるかが分かります。厚みのある側は、ここで前に張り出して見えることがあります。張り出すとまつげが当たりやすくなったり、汚れが付きやすくなったりするので、見た目だけの問題でもありません。
この角度は自分の目では見づらいので、人に見てもらうか、横からの写真を一枚撮ってもらうと確実です。
鏡で見る順番3:かけたまま動いて、傾きを見る
最後が傾きです。左右で厚みが違えば重さも違います。重い側がわずかに下がることがあり、それは鏡の前で静止しているときより、動いたあとに出ます。
手順はこうです。
- かけて、両手を離して10秒待つ
- 下を向いて、戻す
- 二、三歩歩いて、鏡の前に戻る
- そこで初めて、枠の上端のラインと眉の距離を左右で見比べる
かけ直した直後は手で位置を整えてしまっているので、判定になりません。動いたあとに片側だけ下がるなら、テンプル(つる)の曲がり始めの位置や、鼻あての高さで調整できる範囲かもしれません。逆に、静止した状態ですでに大きく傾いて見えるなら、耳の高さの左右差など、体の側の理由が混じっていることもあります。どちらにしても、その場で伝えておくと調整の見当がつきます。
うまくいかないこと、店の範囲ではないこと
正直に書いておきます。左右差が大きい場合、薄型のレンズを選んでも、枠に収めても、差をゼロにはできません。できるのは、目立ちにくい位置に厚みを寄せることと、縁の処理で反射を抑えることまでです。「言われなければ分からない」くらいに持っていくのが現実的な着地点になります。
また、かけたときの見え方の違和感、片目ずつ見たときの差、歩きはじめの足元の感じ——こうした見え方そのものや、目の症状に関することは眼科医の領域です。店でできるのは、処方された内容をもとにレンズとフレームを組み立てること、かけ具合を調整すること、そして「ここは眼科で相談してください」と線を引くことまでです。気になる症状があるときは、先に眼科を受診してください。
そのうえで、実物をかけて、斜めから見て、動いてから鏡に戻る。この三手順は、カタログや数字の上では確かめようがありません。メガネ・サングラスの売場では一級眼鏡作製技能士が、厚みの出かたやフレームとの相性を、実際にかけてもらいながらお話ししています。左右差のことは、遠慮なく最初に言ってもらったほうが、こちらも選び方を組み立てやすくなります。
決める順番のまとめ
- 枠が一周あるフレームから見る
- 正面で、枠の帯の幅と目の位置を左右で比べる
- 斜め45度と真横で、縁の張り出しと反射を見る
- 10秒待って、動いてから、傾きを見る
- 残った不安のうち、見え方に関わるものは眼科へ、かかり具合は店へ分ける