子供のメガネと体育の授業。見る距離で3つに分ける
「体育のときは外させたほうがいいですか」。子供のメガネを作ったあと、いちばん多く聞かれる質問のひとつです。本人は外したがらない、でも走り回って落としそう、先生にも聞きづらい。決めきれないまま、毎週なんとなく過ごしている方も多いと思います。
この記事では、種目を「どのくらいの距離を見るか」で3つに分けて、外して困る場面・かけたままで問題にならない場面・調整で済む範囲を順に整理します。
決まらないのは、「体育」をひとまとめにしているから
体育の授業は、中身が週ごとにまるで違います。ボールを追う日もあれば、マットの上で回る日もある。それを「体育のとき」という一括りで考えるから、答えが出ません。
分け方として実用的なのは、安全かどうかより先に「その種目で、どこを見ているか」です。見る距離が遠いほど、メガネを外したときに減る情報が大きくなります。逆に、見る対象が自分の体の周りで完結しているなら、外しても本人が困らないことがあります。
以下の3分類は、家で保護者が判断するための目安です。接触の多い種目で外すかどうか、用具をどうするかは学校や指導者の方針が優先されますので、そこは先に確認してください。
分類1:遠くの動くものを見る種目 —— 外すと情報が減る
サッカー、ドッジボール、野球やソフトボール、バスケット、鬼ごっこのような走り回る遊び。数メートルから十数メートル先のボールや人の位置を、動きながら追いかける種目です。
ここは、外すと本人の中で起きることが大きい場所です。ボールが見えにくい、味方がどこにいるか分からない、だから前に出なくなる。「運動が苦手」と本人も周りも思っていたけれど、実はメガネを外して参加していただけだった、という話は珍しくありません。
この分類は「かけたまま参加する」を前提に置いて、そのうえでずれ対策を考えるのが現実的です。外す・外さないで悩み続けるより、ずれない状態を作るほうが早く片づきます。
分類2:手元と自分の体の範囲で完結する種目 —— 外しても困りにくい
マット運動、鉄棒、持久走、水泳、ダンスの一部。見ているのは自分の手足と、せいぜい数歩先の床です。距離があまり変わらず、遠くの細かいものを判断する場面も少ない。
この分類は、外しても本人が困らないことが多い場所です。特に水泳は外すのが前提になりますし、度付きのゴーグルという選択肢が一般的にあります(学校や教室で使えるかはルールの確認が要ります)。
ただし条件がひとつ。本人が「外すと怖い」と言う場合は、無理に外させないほうがいいです。外した状態でどのくらい見えているかは、本人にしか分かりません。保護者の目から見て大丈夫そうでも、本人の感覚が優先です。
もうひとつ、外すと決めたなら置き場所もセットで決めてください。外したメガネの紛失と破損は、運動中より「脱いだ服の上に置いた」「ベンチに直置きした」で起きます。ケースを持たせる、記名しておく。これだけで減ります。
分類3:距離が切り替わり続ける種目 —— ここがいちばんずれる
跳び箱、ハードル、縄跳び、バドミントン、卓球。遠くと手元を行き来したり、上下に激しく揺れたりする種目です。
かけたままになる場面が多い一方で、頭の上下動が大きいぶん、ずれが出やすい。そして子供は、ずれたメガネを指で押し上げる動作に気を取られて、動き自体が止まります。外す・外さないの問題というより、ほぼ「ずれ」の問題だと考えていいと思います。
家で確かめる方法は簡単です。メガネをかけたまま、下を向いて10回うなずく、左右に首を振る、その場で軽く跳ぶ。これでずれ落ちるなら、授業中はもっと落ちています。
ずれの原因は3か所。調整で届く範囲と、届かない範囲
ずれる原因は、だいたい次の3つに分かれます。
- 耳の後ろの、曲がり始めの位置。つるが長すぎて、耳の付け根より後ろで曲がっていると、引っかかりが効きません。
- 鼻あての高さと角度。鼻の低い子は、パッドが当たる面積が足りず、滑ります。
- フレームの幅そのもの。こめかみに当たって押し返されている場合、曲げても戻ります。
1と2は、調整で動かせる範囲です。曲がり始めの位置をずらす、パッドの角度を変える、鼻あて自体を形の違うものに替える。これだけで、跳んでも落ちない状態に近づくことはよくあります。
一方、3は形の問題なので、調整では追いつきません。それと、子供は半年で顔の幅が変わります。作ったときに合っていても、今はもう合っていないことがある。「前に調整したから大丈夫」は、子供の場合あまり当てになりません。
そしてもうひとつ、線引きの話です。「見えにくそう」「まぶしがる」「目をこする」「頭が痛いと言う」——こうした目の症状や見えにくさの原因そのものは、眼科医が診る領域です。メガネ店でできるのは、見え方について相談を受けることと、かけ具合を調整することまで。ここは混ぜないほうが、結果的に早く解決します。
決める順番のまとめ
- 今学期の種目を書き出し、3つの分類に振り分ける
- 分類2に入るものだけ「外す」と決め、置き場所と記名をセットにする
- 残りは「かけたまま」を前提に、家でうなずき・首振り・ジャンプのテストをする
- ずれるなら、曲げる前にメガネ店で見てもらう
- 本人が「外したい」「かけていたい」と言うときは、その意向を上に置く
学校へは、「この種目は外します、これはかけたまま参加させます」と具体的に伝えると話が通りやすいです。「基本かけたままで」だけだと、現場で判断が揺れます。
最後に。成長期のメガネは、作って終わりではなく、定期的にかけ具合を見てもらうほうが長持ちします。HAUSのメガネ売場には一級眼鏡作製技能士が常駐していて、子供のメガネは3歳から対応しています。鼻あてのカスタマイズもできますので、実物をかけて、その場で跳んだり首を振ったりしながら決められるのが、店に来ていただく利点だと思います。調整で届かない形の問題も、かけている状態を見れば、その場でお伝えできます。