メガネのこと

メガネのテンプルの長さは曲がり始めで見る

メガネをかけていて、耳の後ろでつるの先が余ってしまう。逆に、耳の手前からもう窮屈で、こめかみから耳の上にかけて押される感じがする。どちらも「長さが合っていない」と言われる症状ですが、実際に見るべきなのは全長のミリ数ではなく、つるが下へ曲がり始めている位置です。この記事では、真横から鏡を見るだけでできる、その位置関係の確かめ方をまとめます。

「長さが合わない」の正体は、たいてい曲がり始めの位置

メガネのつる(テンプル)は、こめかみの横をまっすぐ後ろへ伸びて、ある地点から下に曲がり、耳の後ろへ回り込みます。この曲がり始めの地点を、メガネ店では「曲がり始め」や「モダンの立ち上がり」と呼びます。

かけ心地を決めているのは、ここが耳の付け根と合っているかどうかです。全長が同じ数字でも、曲がり始めが1cm前後するだけで、当たり方も、メガネが前後にずれる量もまるで変わります。

逆に言うと、「後ろが余っている」こと自体は、必ずしも不具合ではありません。曲がり始めが合っていれば、先端が少し余って浮いている状態はよくあります。問題になるのは、余った先端が耳の後ろや頭の側面を押しているとき。見るべき順番は、①曲がり始めの位置 → ②先端の余り方、です。

真横から鏡で見る。基準は耳の付け根のいちばん上

確かめ方は簡単です。メガネをかけたまま、真横を向いて鏡を見ます。洗面所の鏡だと正面しか映らないので、手鏡を使うか、家族に真横からスマホで撮ってもらうのがいちばん確実です。髪は耳にかけず、普段のままで。

見るのは2点だけ。

  • 耳が頭とつながっている根元の、いちばん上の点
  • つるが下へ曲がり始めている点

この2つが、ほぼ同じ前後位置に来ていれば合っています。ずれているときは、どちらにずれているかで症状が変わります。

曲がり始めが、耳の付け根より前(顔寄り)にある場合。 つるが耳の上に乗り上げ、耳の上縁からこめかみにかけて押されます。「短くて窮屈」と感じるのはほぼこの状態です。メガネが前へ押し出されるので、レンズと目の距離も普段より開きがちになります。

曲がり始めが、耳の付け根より後ろ(後頭部寄り)にある場合。 耳の上に何も乗らず、つるが浮いた状態になります。支えが鼻だけになるので下がりやすく、先端だけが後ろで強く当たることもあります。「後ろが余る」という感覚の多くは、長すぎるのではなく、この曲がり始めが後ろにありすぎるときに出ます。

左右で違っていることのほうが、むしろ普通

真横から見るときは、必ず左右の両方を見てください。耳の高さと前後位置は、左右でそろっていないのが普通です。片側だけ曲がり始めが前に来ていて、片方だけ痛い・片方だけ浮く、ということはよく起こります。

このとき「左右そろえて同じだけ曲げる」とかえって合いません。合っていない側だけを動かすのが基本です。自分で左右を見比べるのは難しいので、撮った写真を左右並べて見ると分かりやすくなります。

もうひとつ、確かめるときの条件をそろえておくこと。髪を耳にかけているかどうか、マスクの紐が耳にかかっているかどうかで、当たり方は変わります。普段いちばん長くしている状態で見るのが、いちばん役に立ちます。

動かせる幅は、つるの形と素材で決まる

曲がり始めの位置は、ある程度までなら動かせます。ただし幅は形と素材によって違います。

先端がプラスチック(先セル)で、中に芯が入っているタイプ。 温めて芯ごと形を変えられるため、曲がり始めを前後に動かす余地が比較的あります。回り込みの深さも調整できます。

金属のままのつる。 細い線材なら曲げられますが、曲げ戻しを繰り返すと金属は疲労します。何度も直す前提では考えないほうがいい箇所です。

まっすぐなままのつる(ストレートテンプル)。 耳の上に乗せて、挟む力で支える設計です。そもそも曲がり始めという考え方が当てはまらないので、合わない場合は調整より選び直しの話になります。

一方で、全長そのものを伸ばすことは基本的にできません。 曲がり始めを後ろへ送れるのは、その先に余りがある場合だけです。耳の付け根まで届いていない、回り込む分が残っていない——このときは調整では追いつかず、フレームを替えるしかありません。ここは正直にお伝えしている部分です。

自分で曲げてみる前に、丁番のすぐ後ろや、金属のつなぎ目の付近は触らないこと。アセテートは温めずに曲げると白く筋が入ったり、芯が戻らなくなったりします。元に戻せない曲げ方をしてしまうと、選択肢が減ります。

見え方が変わった気がするとき、どこまでが店の話か

つるの位置が前後にずれると、メガネ全体が前後し、レンズと目の距離が変わります。その結果「前より見え方が違う気がする」と感じることはあります。かけ位置を戻すことで感じ方が変わる場合もあるので、調整で確かめる価値はあります。

ただし、かすみ、まぶしさ、痛み、ものが重なって見えるといった症状は、メガネの話ではなく眼の話です。眼の症状や病気の診断・治療は眼科医の領域で、メガネ店が判断できることではありません。店でできるのは、見え方の相談と、メガネそのものの調整までです。症状が続くようでしたら、まず眼科を受診してください。

決める順番と、実物で確かめたいこと

整理すると、こうなります。

  1. 真横から写真を撮る(左右とも、普段の髪型のまま)
  2. 耳の付け根のいちばん上と、つるの曲がり始めの位置を見比べる
  3. 前にずれている/後ろにずれている/左右差がある、のどれかを書き留める
  4. 先端の余りが、どこかを押していないか確かめる
  5. そのうえで、調整で動かせる範囲か、全長が足りていないのかを相談する

新しく選ぶときも、同じ見方が使えます。正面の鏡だけで決めると、つるの長さは最後まで分かりません。かけたまま真横を向いて、曲がり始めが耳の付け根に来ているかを見る。これを試着のたびにやっておくと、買ってから「後ろが余る」で悩むことがかなり減ります。

とはいえ、自分の真横を自分で見るのは限界があります。実際にかけて、その場で曲がり始めを少し動かして比べてみるのが、いちばん早い確かめ方です。メガネ・サングラスの売場には一級眼鏡作製技能士がいますので、今かけているメガネを持ってきていただければ、どこがずれているのか、動かせる範囲なのかを一緒に見ることができます。今のものを直すだけで済む場合も、よくあります。

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