メガネでこめかみが痛い|重なる物の数で見直す
夕方になると、こめかみのあたりがじんわり痛い。メガネを外すと、横にうっすら線が残っている。鼻や耳ほどはっきりした痛みではないのに、一日の終わりにはそこばかり気になる——そういう相談は、季節を問わずいただきます。
この記事では、こめかみの痛みを「メガネ単体の問題」として見るのをいったんやめて、帽子・ヘッドホン・マスクの紐など、同じ高さに重なっている物の数から幅を見直す手順をまとめます。
こめかみの圧は、メガネ単体ではなく「重なった合計」で決まる
こめかみは、顔の中でも皮膚の下にすぐ骨がある場所です。鼻や耳のように、組織が少しクッションになってくれる余地が小さい。だから、わずかな圧でも時間がかかれば痛みとして出てきますし、跡も残りやすくなります。
そしてここが肝心なのですが、こめかみに当たっているのはメガネだけとは限りません。帽子の内側のサイズ調整ベルト、ヘッドホンのヘッドバンドやイヤーパッドの前側、マスクの紐が頬骨からこめかみへ引く力。これらはだいたい同じ高さを通ります。メガネの幅が多少きつい程度なら問題にならなかったのに、そこへ一つ二つ重なった途端、痛みの出る圧になる。
逆に言えば、「メガネを買い替えるべきか」を考える前に、合計でいくつ重なっているかを先に知っておいたほうが、判断を間違えにくくなります。
まず三日、こめかみに重なった物だけを書き出す
道具は要りません。メモに、日付と「こめかみに何かが重なっていた時間帯」だけを残します。
候補を挙げておきます。キャップやニット帽(特に内周の調整ベルトがある物)、オーバーイヤー型のヘッドホン、イヤーマフ、マスクの紐、ヘルメット、ヘアバンド、髪をきつく結んだときの引っぱり、頭に上げたサングラス、作業用の保護メガネ。髪を耳にかける癖も、量が多い人は一つに数えて構いません。
三日分たまったら、痛みが出た日とそうでない日を見比べます。見るのは次の二つだけです。
- 痛んだ日に、何が重なっていたか
- 重なっていた物を外してから、10分ほどで楽になるか
外して10分で引いていくなら、圧の合計が原因である可能性が高い。外しても変わらない、あるいは朝起きた直後から痛いなら、別の話として考えます(後述します)。
重なる数別、見直す優先順位
0〜1個のとき。 メガネ単体、またはメガネとその一つの関係を疑います。この段階なら、フレームを替えなくても調整で収まることが少なくありません。テンプル(つる)の開き具合、フロントの反り、先セルの曲がり始めの位置。どれも動かせる範囲があります。
2個のとき。 ここが分かれ目です。調整で逃がせることもありますが、「どちらを優先するか」を決めないと堂々巡りになります。通勤中だけヘッドホンとマスクが重なるなら、その時間帯に合わせてメガネをゆるめに振ると、今度は日中ずり落ちる。どの時間を基準にするかを先に決めてしまったほうが早いです。
3個以上のとき。 帽子をかぶり、ヘッドホンをして、マスクもする。この生活が常態なら、調整の積み上げでは追いつきにくい。フレーム側に最初から余裕のある形を選ぶほうが現実的です。具体的には、ヨロイ(フロントとつるの接合部)の張り出しが少ない形、テンプルが外へ大きく張り出さず後ろへまっすぐ伸びる形、つるが細く薄い物。同じレンズ幅でも、この部分の作りで当たり方はかなり変わります。
物ごとに、当たり方の癖が違う
帽子は、内側のサイズ調整ベルトがちょうどこめかみの高さに来ているケースが多いです。かぶる位置をほんの少し後ろにずらすだけで当たりが外れることがあります。アジャスターの位置を後頭部側へ回すのも手です。
ヘッドホンは、ヘッドバンドよりイヤーパッドの前端が効きます。パッドがテンプルを内側へ押し込み、押された力がこめかみまで伝わる。パッドが厚く柔らかいほど逃げやすく、つるが太く角張っているほど痛みに直結します。耳かけ部分の曲がりが深い形も、押されて角度が変わりやすい。
マスクの紐は、耳の後ろでテンプルと重なるだけでなく、紐の張力がフレーム全体を内側へ引き寄せます。紐をテンプルの上に通すか下に通すかで、引かれ方が変わります。両方試してみてください。
ヘルメットは内装が硬く、ほぼ調整の効かない相手です。この場合はメガネ側で合わせるしかありません。
跡の位置で、幅の問題か調整の問題かを分ける
鏡で、跡が付いている位置を見ます。
こめかみの前寄り(目尻から指一本分あたり、ヨロイが当たる位置)に出ているなら、フロントの横幅そのものが顔より狭い可能性があります。この場合、つるを広げても付け根の位置は動かないので、調整での改善には限りがあります。
耳の手前、もみあげのあたりに出ているなら、つるの締め具合や曲がり始めの位置の話。ここは動かせる範囲が比較的あります。
なお、広すぎる場合も痛みは出ます。前が余ってつるが外へ逃げ、その分を耳の後ろで強く引っかけることになるためです。「締め付けられる感じがするのに、前は浮いている」ときは、狭いのではなく広い疑いを持ってください。
自分で曲げるのは、こめかみ側に関しては勧めません。フロントとの接合部に近く、少し動かすだけで左右差が出ます。金属とプラスチック系では戻し方も違い、素材によっては一度の曲げで白くなったり折れたりします。
痛み以外のことが起きているときの線引き
ここははっきり書いておきます。こめかみの痛みに、頭痛や吐き気、まぶしさ、ものの見えづらさが伴うとき。あるいは、メガネを外していても痛むとき。これはメガネ店が扱える範囲の外です。眼の症状や体の不調は眼科医・医療機関の領域で、店でできるのは見え方についての相談と、メガネそのものの調整までです。順番を間違えないでください。
決める順番のまとめ
- 三日、こめかみに重なった物を書き出す
- 外して10分で楽になるか確かめる(ならなければ医療機関へ)
- 跡の位置を見る。前寄りなら幅、耳寄りなら調整
- 重なる物が2個以上なら、どの時間帯を基準にするか決める
- 3個以上が常態なら、ヨロイの張り出しとつるの太さから選び直す
この手順でも、どうしても両立しないことはあります。ヘルメットを長時間かぶる仕事と、細身のメタルフレームを気に入っていること。その両方を一本で満たすのは難しい、という結論になる日もあります。
確かめ方としていちばん早いのは、普段こめかみに重なっている物を持って行って、その場で重ねてみることです。帽子でもヘッドホンでも構いません。かけただけでは分からなかった当たりが、重ねた瞬間に出ることがよくあります。メガネの売場でも、持ち込まれた帽子の上からかけ具合を見る、といったことはしています。一本で全部を背負わせず、場面で分ける選択肢も含めて、相談しながら決めていただければと思います。